━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こねこね外伝、というより、おもしろいものみっけ 携帯MP3プレーヤーHyperHyde(I・O DATA) &MMCカードアダプタCU-V50(Victor) 編集部:舩本昇竜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 最近、MP3プレーヤーの「市場競争」が熱くなってきましたね。 あっ、これは「MPManとRio300以外の選択肢が一気に増えた」だと 思ってください。半分くらい。で、いっぱい種類が出てきたことに よるモリアガリは、市場的にも、何年か前のMDとは比べモノになら ないほどです。 そんな中、個人的ポイントも結構高く、X68k的に見ても、結構、 面白そうなMP3プレーヤーを見つけたので、アレコレ紹介/分析し てみます。 ○その名は「Hyperhyde」 そのMP3プレーヤーというのは、広告を目にしたことがある人も 多いハズ、の、アイ・オー・データから発売されている、 「HyperHyde(ハイパーハイド)」。記憶メディアにMMC(Multi Media Card)を使用しており、とにかく小さい。本体重量がなんと 27グラム。メディア2枚に電池を加えても、30グラム台の最小・最 軽量クラスの品。さすがアイ・オー・データ。…と思わせておいて、 実は、韓国のバロムテック社のOEM(オーイーエム:相手先ブラン ドによる販売)。あと、広告の釈(モデルさん)もなにかとイイや ね。 ◎<小さいプレーヤーの図> ○ついにというかやっとというか OEM品かどうかなどは半ばどうでもよいとして、このHyerHyde、 「小さく」「軽い」に加え、なんとMMCの ファイルシステムがFATコンパチブル。 なのです。うひゃー。 韓国も、やることが違ってきだしたか。 モチロンというかナンというか、日本語版の広告やマニュアルには、 このコトに関しては、一切、触れられていなかったりします。うふ ふふ。なんだか、 すごい裏技を発見した中学生 のように興奮しているな。私。 と、これ以上読者をオイテケボリにするわけにはいかないので、 簡単に嬉しいワケを説明しましょう。まず、現存するほとんどの MP3プレーヤーは、何等かのケーブルと 専用のダウンロードソフト を使って、データを転送する必要があります。そして、各記憶メデ ィアには、内蔵・増設にかかわらず、各メーカーの都合がいいよう にデータが格納されます。いわゆる 独自フォーマット ってやつです。 ところが、HyperHydeのように、FATコンパチブルのシステムを持 っている場合、その記憶メディアに対し、 COPYコマンドでファイルをコピー すればダウンロードしたことになるのです。さらには、メディアに 入っている曲をチェックする時は、dirコマンドを。曲を消去する 時は、delコマンドを使うなど、 DOSの操作と考え方がそのまま使える のでガンス。なんなら、いつも持ち運んでいるMP3データを いきなり16進ダンプして眺める とか、それに飽き足らず、 ヘッダの中身を勝手にいじる コトもヘーキで出来ちゃうワケよ。はあはあ。さらに、こんな芸当 が出来る(ファイルシステムがFATコンパチの)MP3プレーヤーって、 他には1機種しかないのですよ。さらに、その機種は、「音の悪さ に定評がある」そうですし。あらあらイヤダワ。 ○真面目な話題に戻ると とまぁ、前述のように、HyperHydeのファイルシステムはFATコン パチブルなので、つまるところ、X68kでもMP3ファイルの管理が簡 単に出来てしまうのです。そういう意味では、ようやく「デジカメ に追い付いたかな」とも思わなくもありません。ま、もともとデジ カメは「made in 日本」なわけですから、ちょっと土俵が違うかな ? とも感じますが。 などと、勝手に喜んでみたものの、日本で、この情報を喜ぶ人は いるのでしょうか? というのも、恩恵にあやかるための条件が、 「X68kユーザー」であるコトからスタートし、 ・SCSI環境がある (まぁ、X68kでは、普通かな) ・SCSI用PCカードリーダがある (X68kで、積極的にデジカメをアクセスする人なら…) ・MMC用PCカードアダプタがある (スマートメディアならともかく。うーん、絶望的) と条件がすごくヘビー(というか極度のマイナーさ加減)。 ◎<モーレツな接続状態> もっとも、満開製PCカードアダプタっていうソリューションもあ りますがね。 ○ちょっと脱線してMMCカードアダプタについて 突然ですが、みなさんのまわりにMMCって、存在しますか? 同じ小型記憶用メモリデバイスである、スマートメディアやコン パクトフラッシュは、デジカメ用記憶デバイスとしてよく使用され ていることもあり、非常にメジャーな存在であるといえます。とこ ろが、MMCは、その用途や存在自体がちょっと疑問どころか、その 存在を知らない人の方が多いと思うのです。 そもそも、日本でMMCが使われだしたのは、PanasonicとVictorの デジタルビデオ、それもいわゆる手のひらサイズタイプ、のスチル 撮影データの保存用デバイスとしてです。小さなビデオカメラに挿 す、小さな記憶メディアとして、各メーカーの思惑(これは、本当 にいい加減にしてほしいのですが)もあるのでしょうが、純粋に物 理的なスケールメリットの点で現在世界最小のMMCが記憶メディア として採用されたということは、十分予想出来ます。 そういう意味では、MMCはスマートメディアやコンパクトフラッ シュと比べると、メモリースティック寄りといいますか、若干、 「家電寄りの製品」といえなくもありません(なにかイイガカリっ ぽいですね)。実際、アクセサリであるMMC用PCカードアダプタを 見ても、一般のPC用製品との差を感じることが出来ます。 ◎<優秀なMMCアダプタ> ○ちょこっといじめてみました ともあれ、HyperHydeとMMCをちょっとずつ、いぢめてみましょう。 最初は、標準のやり方(Windows上でケーブルを使う方法)で、曲 をダウンロードして、ちゃんと再生が確認できているものをみてみ ます。 まずは、SCSIの様子から、 ◎ @>askscsi 12 特に問題はありませんね。Inquiryが"PanasoniATA"なのは、愛敬、 アイキョウ。続いて、ごく基本的なコマンドを実行してみましょう。 ◎ @>dir p: おー。ぱちぱち。ブラボー。って感じです。ファイルのオープン (ダンプとか)も出来るっぽいです。OK、OK。それじゃ、次は、 ちょっとキビシイやつをいってみようかな。 ◎ @>CHKDSK p: /A って、あれ? なんだか妙です。もしかすると、HyperHydeのFAT コンパチブルってのは、「ディレクトリエントリ部分のFAT番号か ら先頭セクタ位置だけつかむ」ってトコまで有効で、あとはファイ ルサイズだけ連続読み込み? という疑惑が私の中に現れました。 うむむ、とにかく、MMC内のディレクトリエントリ部分を覗いてみ ましょう。 ◎ ディレクトリエントリ部分を覗く およよ、さすがにWindowsで書き込んだだけのことはあります。 ちょっとゴチャついてメンドくさそうなので、続きは追わないこと にします(って、ナンジャクな)。 ○ちょこっといじめてみました(その2) 今度は、X68kだけを使って、疑惑の検証も含め、いろいろとやっ てみましょう。といいますか、X68kを使い、ファイルをわざと不連 続格納してみます。 手順としては、まず、 ボリュームがありません J:\ 3 ファイル 15700K Byte 使用中 206992K Byte 使用可能 ファイル使用量 15696K Byte 使用 pl_01 mp3 4048319 00-01-31 19:04:30 ri_02 mp3 2775625 00-01-31 19:09:06 sw_17 mp3 9247638 00-01-31 18:57:50 の3つのMP3ファイルを用意し、まず、MMCに上から2つファイル 「pl_01.mp3」「ri_02.mp3」をコピーします。 @>copy j:ri_02.mp3 p; @>copy j:pl_01.mp3 p; そして、MMCの一番上のファイル「pl_01.mp3」をdelコマンドで 消し、その上に巨大な「sw_17.mp3」をコピーします。 @>del p:pl_01.mp3 @>copy j:sw_17.mp3 p: [この時のMMCの中身] sw_17 mp3 9247638 00-01-31 18:57:50 pl_01 mp3 4048319 00-01-31 19:04:30 こうするコトで、ファイルサイズの関係上、「sw_17.mp3」は、 セクタの不連続箇所が最低1箇所発生することになります。つまり、 この記録状態で再生を行い、「sw_17.mp3」が最後まで連続して演 奏されるかどうかを聞くことで、プレーヤーがセクタのつながりを きちんと追っているかどうかを判断することが出来ます。 では、再生の前に、MMCの様子を確認しておきましょう。 ◎ @>dir p: 問題なし。 ◎ @>CHKDSK p: /A 今度は、CHKDSKの動作そのものはOKっぽいですね。と、確認し つつ再生してみると、どうやら、うまくいっているようです。なん だ、心配して損した。 ○期待をちょっと裏切られたこと/過度期待していたこと WindowsでMP3プレーヤーにデータをダウンロードする作業してい る時は、いつも「あぁ、ケーブルダウンロードは時間がかかるなぁ」 そして、「これがX68kだったら、SCSIでバシっと書き込んで、ファ イル転送なんてちょちょいのちょいなんだろうけど」と期待を膨ら ましていました。しかし、実際、SCSIでバシっと書かせてみると、 これが思っていた程、速くないのです。というより、どちらかとい えば、「遅い」と感じたのです。 MMCのまるごとイメージ読み書きソフト(FDIMG.XのMMC版ですね) を作り動かしてはみたものの、16MBの書き込みに4分かかるっての はねぇ。「眺めているうちに読み書きが完了するようなドキドキす る速さ」を期待していただけに、チト、残念。やっぱり、SCSIうん ぬんという問題より、フラッシュうんぬんの問題なんだろうなぁ。 ○一般的な注意 とまぁ、ここまでの勝手なアレコレは、私が勝手に行ったコトな ので、メーカーさんなどに問い合わせはしないように、お願いしま す。 あと、以上の実験環境として、今月掲載のmitsuky改造版susieお よび、VTwentyOneを使用しています。関係各位に感謝。 ん? 音質はどうかだって? そんなの、オーディオとして聞い た場合は、良くも悪くもMP3なのだけど、「30グラムの携帯音楽環 境の実現」いう点では、現時点において、かなりいい感じだと思い ますよ。もっとも、趣味の問題だとは思いますが。 (EOF)